「生涯学習基盤経営コース」は、2007年度から本教育学研究科に誕生しました。それ以前は「生涯教育計画コース」と称しておりました。このコースを構成していた教育行政学分野が新しくできた「学校教育高度化専攻」に移行したことを一つの機会に、社会教育学分野と図書館情報学分野が互いの研究教育領域を意識しつつ積極的に新しい分野をつくる可能性を探って再構成したものです。
生涯学習は、一人の人間が生まれ、成長期を経て、成人として活動をし、さらに老齢期を経て最後に死を迎えるまでのライフサイクルにおける「発達」と「成熟」の過程全体にかかわっています。これを対象とする生涯学習基盤経営コースでは、特に次のような理論・実践をテーマにして研究を進めます。

(1) 生涯学習支援組織の新しい可能性を探る
生涯学習を支えてきた既成の主な組織として、公民館・図書館・博物館・生涯学習センター等があります。本コースは、主に公民館・生涯学習センター・博物館等を研究対象とする社会教育学研究室と、図書館とメディアを対象とする図書館情報学研究室という、二つの研究室から構成されています。これらが、本コースの教育研究活動の原点であり、今後もその中心にあるものであることには違いありません。
そうしたいわば公共セクターによる生涯学習支援活動について、教育学、経済学、社会学、情報学的な視点からの理論的研究、実践的な研究を進めます。それらの機関の専門職員の方の積極的な参加もまた期待されています。

(2) 生涯学習から知の流通の社会的な連関過程の解明へ
生涯学習過程には、環境教育・食育・国際教育・青少年教育などを積極的に進めるNPOやNGOの活動、通信教育や教育文化産業・マスメディアなど企業が行う社会教育事業、学校や大学などの学習組織にかかわる教育支援活動、PTAなどの地域活動、出版産業やマスメディア、インターネットがもつ情報メディア環境まで、直接間接の学習資源と学習環境があります。
これらについて、対社会的な関係を重視した実践的研究から理論的・基礎的な研究までを、二研究室が協力しながら進めています。これは最終的には、社会的な知の流通の過程の解明につながるものです。そうした未知の分野を拓いてみたいチャレンジングな人も歓迎します。

入学・進学について

大学院修士課程の入学試験は、毎年9月に入試が実施されます。また、博士課程の入学試験は、毎年9月に筆記が、2月に口述試験が行われます。大学院教育学研究科修士・博士課程募集要項は、例年、5月に発表されます。要項につきましては、東京大学大学院教育学研究科のホームページにて発表されますので、該当時期にチェックしてください。いずれも、次年度の入学分となります(したがって、例えば2010年度からの入学を希望する場合は、2009年度に要項が発表され、入試を2009年度に受けることになります)。
他に、研究生という制度があります。日本人の場合、4月入学で募集は前年度の2月頃に、また、外国人の場合は4月入学と10月入学があり、募集はそれぞれその約半年前に締めきられます。

注意!
以上、「入学・進学について」の情報は、あくまで例年の目安であり、年によって変わる可能性があります。入学・進学を希望する方は、各自、東京大学大学院教育学研究科のホームページ、東京大学大学院教育学研究科の該当窓口で確認の上、手続きを取ってください。